住宅の太陽光発電設備は「不動産」ではなく独立した「動産(機械及び装置)」として扱われます。そのため、建物本体とは別に、国と電力会社への名義変更手続き(売電事業の承継)が必要です。これを放置すると売電収入が受け取れなくなる恐れがあります。
具体的な手続きの流れ
- 経済産業省への手続き(事業計画認定の承継)
国から認定された太陽光発電事業者の名義を、相続人へ変更する届け出をします。
• 手続き先: 再生可能エネルギー電子申請サイト(オンライン)
• 主な必要書類:
• 被相続人(亡くなった方)の除籍謄本
• 法定相続人全員の戸籍謄本
• 法定相続人全員の印鑑証明書
• 遺産分割協議書(設備を誰が相続するか明記されたもの) - 電力会社への手続き(売電契約・振込口座の変更)
国の変更手続きが完了した後に、毎月の電気の買い取りと振込先口座を変更します。
• 手続き先: 契約している電力会社(例:東京電力など)の窓口
• 主な必要書類: 電力会社指定の承継届、遺産分割協議書や戸籍謄本のコピーなど - 注意点
• 口座凍結: 故人の銀行口座は死亡と同時に凍結され売電収入がストップするため、早めの口座変更が必要です。
• 相続登記: 太陽光パネルを設置している住宅や土地自体の相続登記も、法務局にて忘れずに行う必要があります。
FIT期間内(売電中)とFIT期間外(卒FIT・自家消費)
経済産業省(JPEA)への名義変更手続きの「難易度」と「必要書類」が大きく異なります。
最も大きな違いは、国(経済産業省)への事後変更届出の際に証明書類の添付が必要かどうかです。それぞれの違いを以下にまとめました。
FIT期間内と期間外(卒FIT)の比較
項目 FIT期間内(10年未満) FIT期間外(卒FIT・10年以上)
国(JPEA)への手続き 必須(事後変更届出) 必須(事後変更届出)
添付書類(戸籍や協議書など) 必要(審査が厳格) 原則不要(WEB入力のみで簡素化)
審査にかかる期間 約2ヶ月〜3ヶ月 約1ヶ月
電力会社への手続き 必須(売電振込口座の変更) 新たな売電先(新電力など)との契約
具体的な違いと注意点
- FIT期間内(設置から10年未満)の場合
国が高い価格で電気を買い取ることを保証している期間内のため、不正防止の観点から経済産業省の審査が非常に厳格です。
• 先ほど挙げた戸籍謄本、除籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書などの公的書類をすべてデータ(PDF等)にして添付する必要があります。
• 手続きを怠ると、最悪の場合FIT認定の取り消し(売電権利の剥奪)のリスクがあります。 - FIT期間外(卒FIT・設置から10年以上)の場合
すでに国による高価買取期間が終了している(卒FIT)状態です。
• 経済産業省(JPEA)の再生可能エネルギー電子申請サイトでの名義変更手続き自体は必須です。これを放置すると、将来的な「蓄電池の追加」や「リフォーム時のパネル取り外し」の申請ができなくなります。
• ただし、卒FITの設備は手続きが簡素化されており、WEB上の画面入力だけで添付書類(戸籍等)の提出は原則不要です。
• 電力会社との関係では、現在の電力会社と「卒FIT向けの安い単価」で売電を続けるか、より条件の良い別の新電力会社へ切り替えるかの手続き(契約者変更)を個別に行います。
どちらの場合も共通する最難関「ログインID・パスワード」
FIT期間の内外を問わず、手続きには故人が使用していた国(経産省)のシステムへの「ログインID・パスワード」または「設備ID」が必要です。
もし故人がこれらを控えておらず不明な場合は、JPEA(太陽光発電普及拡大センター)へ問い合わせてIDの発行替え手続きから始める必要があり、さらに時間がかかります。